事務局長のあんな話こんな話NO26首都圏にQ1.0住宅が建つ理由(わけ)

■今、関東地方でQ1.0住宅がどんどん建てられています。

新住協のQ1.0(キューワン)住宅とは、簡単にいえば次世代省エネ基準の3~4倍の省エネ住宅です。仮にある住宅を次世代省エネ基準通りの性能で建てたとします。それをQ1.0住宅にしたら年間の暖房エネルギーが1/3~1/4にまで少なくなる住宅です。したがって関東といえども、Q値(熱損失係数)は1.0台になります。壁の断熱が200mm厚になる住宅もあるでしょう。開口部には省エネ基準を大幅に上回る性能のサッシガラスが使われます。こういう住宅に住んでいる人は、もしかして冬、暖房しないで暮らしているかも知れません。極めて省エネで、当然寒さ知らずの快適住宅です。

■そんな住宅が今関東地区でどんどん建てられています。どんどんと言っても新住協会員の全部がどんどん建てているのではありません。ある一部の工務店・住宅会社(以下、工務店)で起こっている現象なのですが、Q1.0住宅の比率がどんどん高まっているのです。高崎のA工務店では年間30戸新築する内、10戸はQ1.0住宅です。埼玉のB工務店では、お客さんがQ1.0住宅を名指しで来ることもあって年間10戸の内半分以上がQ1.0住宅です。栃木のC工務店は直近の5戸は全部Q1.0住宅になってしまいました。その他茨城県南にもそういう工務店があります。 本来なら、関東よりもっと寒い岩手や青森などでQ1.0住宅がもっと高まっていいと思うのですが、関東のようには建ちません。なぜさほど寒くもない関東でそういうことが起こるのでしょう。

■その答になるかも知れない話があるのでここに紹介します。去る7月18日新住協で200mm断熱のQ1.0住宅施工現場見学研修会が行われました。(写真下)Q値がほぼ1.0で今までの常識で言えば完全にオーバースペック(過剰性能)です。その日、屋根や壁の施工方法などの説明が終えた後、参加者と質問をやりとりしました。

最初の質問「ところでこの住宅は坪に換算するといくらで販売されるの?」7.18夢建築見学会①

K社長「おおよそ100万円、もうちょっと上かな・・・」

続けての質問「いつもそういう価格で販売しているのですか?」

k社長「普段はそうではありませんが、Q1.0住宅だとそのくらいかな・・・」

その場にいた20人くらいの同業会員が一瞬考え込みます。(そんな値段でよく売れるなぁ、高くない?)

そして次の瞬間「でも、総額2500万円ですよね」(この家は25坪)という声が出て、今度は「あ、そうか、なるほどね」と表情が変わりました。

でも、ちゃんとした答はわかったようなわからないようなままです。

■坪100万円と聞くとすごく高額ですが、総額2500万円と言われれば極々普通の家です。仙台だって、新築時の2500万円くらいは驚く額ではありません。ここに、首都圏でQ1.0住宅が「どんどん建つ」理由があるような気がします。

あえて理由を整理すれば次のようになります。

①首都圏でも高断熱住宅に関心を持つユーザーが増えてきた。

②首都圏の家は概して小さい。せいぜい25~30坪である。

③故に坪Q1.0住宅が、坪単価100万円としても2500万円から3000万円。この程度は十分に予算内である。

④彼らは、住宅の二次三次の取得者である。土地は親から譲られたりしてすでに持っているから建築費だけで済む。

⑤これまでも坪100万円とか150万円かけてきた。それは大手ハウスメーカーの住宅で、性能ではなく設備や仕上げに金をかけてきたのである。

⑥そのユーザー層が高断熱住宅を知り始め、高断熱志向になった。

⑦高断熱住宅を知れば知るほど、「どうせ建てるならもっと上のランクで」建てようじゃないか」という気になっているのだ。テレビを20インチじゃなく、もっと大きく32いや40インチにしようじゃないかというあのノリ(購買心理)だ。

と、まぁそんなところではないでしょうか。

■つまり、今までMホームやSハウスの、見た目の良や設備や機能にかけてきた坪100万円のお金を、超高断熱住宅をみつけたことによって、そちらを向く人たちが出現したのでしょう。だから、建て替え層を中心にこれから首都圏ではQ1.0住宅が「どんどん増える」ことになると予想するのです。全国系大手IJ工務店では、Q1.0レベルの住宅が活況だと聞きますが、うなずける話です。

■しかしここで大切なことがあります。我々は、Q1.0住宅の旗を上げなければなりません。ユーザーが知らなければ何にも変わらないし、誰も来てくれません。そして、来た人に性能の違いを見せなければなりません。40インチの迫力を見るから大きなテレビになるのであって、見なければ見ないで済んでしまうでしょう。前出の高崎のA工務店さんに、どんな経緯でQ1.0住宅になったか聞くと、最初はただの見学会来訪者で、会場においた200mm断熱の模型を見て「これなんですか?」から始まると言います。東松山のB社は性能の違いが事務所においてある断面模型でわかるようにしているといいます。栃木のCさんに至っては、「性能を上げますよ」といって黙って壁200mm厚にしたところこれが好評(40インチの心境)で、次からのお客さんも自然にそうなってしまったといいます。

壁200mm~300mmの断面模型を用意すること、視覚で訴えれば高断熱住宅は一年中アピールできます。200mm壁の迫力を皮切りにとれだけ納得させられるかでしょう、決め手は。

兎に角、これからの首都圏ではQ1.0住宅がどんどん増えて行く、そんな気がしてなりません。

■ABC工務店からのお叱り

 ここまで書いたら、坪100万円というのは特別中の特別だからこの表現はまずいというクレームが入りました。たとえばC工務店では、このところ全棟200mm断熱したQ1.0住宅だが、価格は40坪×65万円くらい。「2600万円くらいだが坪単価にすれば65万円程度、100万円にはどうしたってならない」 A工務店も同様で、「100万円するとすれば都内の特別な事情が絡んでいるような家だろう」といいます。栃木群馬茨城、東京と近郊を取り巻く地域のQ1.0住宅は坪換算で65万円が現在の一つの目安のようです。 2013.9.12 会沢

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