4.Q1.0-X住宅とは?


(一社)新住協代表理事
鎌田 紀彦

新住協のQ=1.0(キューワン)住宅を「一言」でいえば超省エネの高断熱住宅です。
例えば150㎡の一般的な住宅を次世代省エネ基準(Q値Ⅱ地域1.9W,Ⅲ地域2.4)レベルで建てたとします。それをQ1住宅にすると、年間暖房エネルギーの灯油換算 盛岡では1350㍑→500㍑(床面積1㎡あたり3.3㍑) 仙台では1300㍑→280㍑(床面積1㎡あたり1.87㍑)と計算されます。 暖房エネルギーは1/2~1/4になります。

▼鎌田紀彦教授の「Q1住宅の提案」を読む(PDF:1.6Mbyte)

Q1.0(キューワン)住宅とは

北海道の高断熱住宅の標準となる北方型住宅(次世代省エネ基準を満たす住宅でQ値が1.6W/㎡以下)は、北海道の一般的な、ストーブで部分暖房をする住宅に比べ、約2/3の灯油消費で全室暖房が可能になります。本州の次世代省エネ住宅が、一般住宅に比べて、全室暖房をすると2倍の暖房エネルギーを消費するのに対し、はるかに厳しい基準です。この、北海道の高断熱住宅の暖房エネルギーを、さらに半分以下にしようとすると、地域によって差はありますが、おおむねQ値=1.0前後になることから、Q1.0(キューワン)住宅と名づけました。そして、こうした住宅を北海道に普及させようと、NPO法人 新木造住宅技術研究協議会(新住協)の会員と技術開発を行いながら、住宅をつくりはじめています。(図1参照)

図1

Q1.0(キューワン)住宅 目的と意義

新住協ではこれまでの20年、「高断熱住宅を造る技術」に取り組んできました。そして今、会員の多くに断熱技術がほぼ構築されたとみて、次の目標を掲げました。それがQ1住宅です。断熱性能をさらに高め、窓や換気の熱ロスを抑え、太陽エネルギーをより効率的に活用し、暖房エネルギーを減少させることでCO2削減に貢献しようというものです。(勿論、夏対策や快適な暮らしを実現する住宅デザインなどもおりこむことは言うまでもありません。)

「暖房エネルギーはどのようにして削減するか」・・先ず、暖房エネルギー計算を知ろう

寒い部屋で布団にくるまって寝るとやがて暖かくなります。布団から逃げる熱と、人間が出す熱がバランスしているのです。部屋が寒いときは布団を厚くする必要があります。布団が薄いと逃げる熱のほうが多く、寒いので電気毛布などの暖房器を布団の中に入れて熱を補う必要があります。逆に、部屋がそんなに寒くないと、厚い布団では暑くなってしまいます。住宅の暖房もこれと同じです。布団は住宅の断熱材であり、布団の中の空間は住宅の室内空間です。住宅の中で人間は熱を放出していますが、布団の中に比べて住宅空間は広いので、 断熱材をかなり厚くしても、それだけでは足りず暖房する必要があります。電気毛布ではなく、ストーブや温水ボイラーを使います。布団の中と大きく違う点は、住宅には窓があり、太陽熱が入ってくることです。また、住宅内で生活する我々は電気器具やガス器具を使い、それによって熱が放出されます。図2は、そうした住宅の熱収支を示しています。外気温に比べて室内のほうが温度が高いと、住宅から熱が逃げます。温度差1℃のとき、床、壁、天井、窓から逃げる熱および隙間風や換気で逃げる熱の合計をQとすると、これに温度差を掛けた量が住宅から逃げる熱損失です。外気温が変動しますから、毎日の平均外気温と平均室内気温との差を冬期間全部足してQに掛けると、冬期間全体の熱損失になります。

一方で、住宅に供給される熱は、人間が出す熱や生活で使った電気・ガスで発生する熱と、窓から入ってくる太陽熱を加えたものです。これを冬期間全部で計算すればよいわけです。これをEとします。損失熱(Q×温度差)と供給熱(E)を比べると、寒冷地では損失のほうがずっと大きく、その差が必要な暖房エネルギーなのです。

この結果、暖房エネルギーを削減するにはいくつかの方法があることがわかります。第1は、熱損失Qを減らすことです。温度差は地域によって決まりますから減らすことができません。

図2 住宅の熱損失

高断熱住宅の暖房エネルギーをさらに減らす手法

1.第1の手法 換気の熱損失を減らす
2.第2の手法 開口部の強化と太陽熱利用
3.第3の手法 断熱の強化

暖房エネルギーは住宅の建設地の暖房度日数(寒さの量)、日射量、住宅の断熱性能、窓の大きさ、サッシガラスの種類によって変動します。新住協では、それらをより簡単に計算できるプログラムを制作して、多くの会員が活用しています。

▼具体的な計算方法を見る(新住協のQPEX)