ABOUT

新住協の目指すもの

誰もが良質な住宅を求められる社会を目指して

新住協は民間の高断熱技術研究機関です。

今、日本では、ゆっくりと
「住宅革命」が進行している

時は40年前です。石油危機による灯油価格の急上昇中に、北海道では分厚い断熱材を施工した住宅の中で、寒さをしのぐために大きなストーブを焚き、年間2000ℓ近くの灯油を消費していました。私は、大学の構内に実験建物を造り研究を始め、やがて在来木造住宅の改良工法を提案しました。これにより、断熱材が同じでも、暖房面積あたりの灯油消費が1/5に大きく削減されました。何よりも家中で寒くなくなり、また木材が腐ることもなくなりました。これが住宅革命の始まりです。

この工法は、北海道・東北など寒冷地の工務店、ハウスメーカーに衝撃を与え、急速に広まり始めました。当初は『寒冷地の技術だ』と、温暖地の人達から相手にされないこともありましたが、やがて夏の冷房にも大きな効果があることがわかり、今ではエアコン1台で快適な全室冷暖房ができる技術も開発され、ゆっくりと全国に広まりつつあります。

住宅を建てるとき、人はデザインや材料にこだわります。しかしできた住宅に住みはじめて、一番の価値を「温かさ、涼しさ、快適さ」に見いだすようです。住人はその性能に驚き、感動しておられます。

省エネ基準住宅では足りない、圧倒的な性能を持つ住宅が、それほどお金を掛けなくても可能になっているのです。

まさに「住宅革命」です。

家は一生の財産であり、毎日の暮らしを支えるものです。革命の果実を十分味わってほしいと思います。

一般社団法人新住協 

会長 理事
室蘭工業大学名誉教授

鎌田 紀彦

Q1.0住宅
日本のスタンダードに

新住協会員は、全棟Q1.0(キューワン)住宅を
めざして活動しています。
Q1.0住宅とは、燃費半分で暮らす家、
それでいて、冬は全室暖房、
夏は全館冷房が楽々可能な住まいです。

これまでの一般住宅

コスト:中

壁の中を冷たい気流が流れ、断熱材が効かず、気密性の悪いこれまでの住宅は、暖房もあまり効きませんでした。暖房費を節約しながら寒さをしのぐため、こたつで暖まる家も多かったと思います。

省エネ基準住宅

コスト:大

断熱材も効くようになり気密性も高くなりましたが、断熱材の厚さが不十分で、窓の性能も低い基準のため、家全体を暖める快適な暮らしをしようとすると、これまでの家の暖房費より大幅に増えてしまいます。

Q1.0(キューワン)住宅

コスト:小

断熱材の厚さを十分に、窓の性能も高め、南の窓をできるだけ大きくとり、熱交換換気設備の採用で暖房費は大きく減り、これまでの半分以下で済むようになります。冷房費も窓の日射遮蔽を見直すことで大きく削減します。

はじまりは1985年

日本の住宅はなぜ寒い?

私たちが行ってきたことは、高断熱住宅技術の研究開発と実践、検証・改良・共有です。

在来木造工法が寒い理由

「日本の住宅はなぜ寒い」その原因と改良工法がはじめて発表されたのは昭和59年(1984年)日本建築学会北海道支部の研究報告会でした。発表者は当時室蘭工業大学の助教授だった鎌田紀彦代表理事。改良工法は驚くほどの成果を発揮し、新在来木造構法と名付けられ工務店から工務店へ、瞬く間に北海道全域から東北、新潟、長野に広がりました。それが「新住協」の始まりです。

在来木造工法の欠点を改良した『新在来木造構法』

以後、産学官が一体となり研究、開発、実践、検証が繰り返し行われ、今日の高断熱・高気密住宅が確立されました。その技術は北海道から東北、関東、中部東海、さらに西日本まで広がり、現在その母体である新住協は、住宅の設計・施工に関与する全国800社あまりから民間の高断熱技術研究機関として支持されています。

私たちの
すべての技術はオープンです。

新住協は特定の企業や団体に偏向することなく、また、その技術はフランチャイズにすることもなく、すべてオープンな技術として公開しています。そうすることで、最終的にはユーザーの誰もが良質な住宅を求められる社会ができると考えるからです。

目標はQ1.0住宅が
日本の標準になること

私たちが今取り組んでいるのは、さらなる省エネです。機械や設備に頼ることなく、住宅本体の断熱性能を高め、豊富な日射エネルギーを有効活用し、暖房エネルギーを可能な限り削減しようと考えています。このような住宅をQ1.0(キューワン)住宅と呼んでいます。Q1.0住宅が日本の標準になった時、人と地球の未来はより確かなものになると信じています。

新住協から生まれた技術

防湿シートを気流止め・気密層とする高断熱工法 (シート気密工法)

1984年に提案。H11(1999年)次世代省エネ基準から標準工法として取り入れられ、現在も、国の省エネ技術講習テキストに掲載されている。

床・外壁の下地ボードを気密層とする高断熱工法(ボード気密工法)

2002年に提案。以降この工法に徐々に移行してきた。これからの標準工法としてマニュアル『Q1.0住宅 設計・施工マニュアル 2020』が刊行されている。硝子繊維協会はGWS工法と命名。

透湿防水シートを使った通気層工法

タイベックという透湿防水シートがデュポン社からアメリカで発売され、これを通気層の防水・防風・透湿シートとして使うことを提案した。

床・壁・天井・屋根のGWによる厚い断熱工法

住宅各部の厚い断熱工法は、新住協の会員と現場の大工さんとの共同作業から改良が進み、ローコストで最大の性能を発揮する工法を開発してきた。

燃費半分以下で快適に暮らせるQ1.0住宅

日本の省エネ基準はH11年(1999年)から全く変わらず、快適に暮らすと暖房費は増える。これを半分以下にするQ1.0住宅を提案。

暖冷房エネルギーを計算できるQPEXプログラム

2004年のVer.1以降のバージョンアップで、今では冷房エネルギーの計算も可能になり、全室冷房もこれで実現した。入力が簡単で広く使われている。

在来木造の柱梁現しの同面真壁工法

在来木造の伝統的なデザインである、柱梁現しで、高断熱住宅を実現する工法を考案。土塗り壁の高断熱工法にも発展した。

既存住宅のローコスト断熱・耐震同時改修工法

圧縮GWを気流止めとして使い、施工方法を工夫することで、断熱・耐震同時改修をローコストに実現。北海道庁との共同研究の成果でもある。

床下を利用するエアコン1台の快適冷暖房システム

基礎断熱の床下や、床断熱の2階床下をエアコンの温冷風を各室に回すチャンバーとして利用。エアコン1台で、快適な全室冷暖房を実現。

FFストーブや温水による快適な床下暖房システム

基礎断熱住宅は、1階の床表面温度が低くなるのを、床下に暖房設備を設置することで改善。床暖房以上の快適性を実現した。

高断熱住宅の夏を涼しくする住宅設計手法

徹底した日射遮蔽と住宅の上下に通風をとることで、夜間通風による冷却を利用。日中は逆に窓を閉めることで、エアコン無しの涼しさを実現。

熱交換換気システムの住宅への導入と改良

高断熱住宅に熱交換換気を導入すると、大幅な暖房費削減が可能になることを実証。設備の効率やメンテナンス性をメーカーとともに改良した。